ISBN:978-4-910692-91-3
定価:\1600+税

作品概要

(プロローグより)
2015年と2020年、大阪都構想の住民投票が行われた。二度とも敗れている。「なぜ都構想は再び否決されたのか」との問いの答えとして、大阪市民の多くが「大阪都構想のメリットについて理解していない」と、住民投票までに行われたデータ分析が結論付けている。それは都構想の何が自分にとって良いのかがわからない、ということだ。
都構想のメリットについて理解していない多くの市民の受け止めを推測した。基礎自治体については、大阪市を4つの特別区にすることで「住民に身近な行政サービスをきめ細かくできる」ということだが、具体的なことがわからない。今でも行政サービスは受けられているし、特別困っていることはないと感じている。広域行政の問題は二重行政であるとよく聞く。「大阪府と大阪市で同じようなビルを作った」といった話は各種聞こえてくるが、自分の生活にどのような影響があるのかわからない。
都構想の説明は、どうしても協定書に書かれている制度設計の話に重点が置かれてしまう。制度設計の話とは、「特別区はいくつに分割するのか」「議員は何人にするのか」「大阪市がやっていた業務をどう分担するのか」などである。実際、大阪市民には協定書の冊子が送付された。関連本にも同様の記載があった。マスコミやネットの情報も、概ね同様の内容であった。
多くの大阪市民が知りたいのは協定書の内容(制度設計の話)ではなく、都構想が施行されたら自分達の生活がどうなるのか、どのような良いことがあるのか、ではないか。そうでなければ賛成か反対かの判断は難しい。判断できる材料が欲しいのである。そのためには、かなり具体的な話をする必要がある。しかも、多くの市民が実感できる現実的な話が望ましい。
そこで『調査』を行った。調査の結果を分析し、住民(大阪府民市民)への影響と大阪の構造(政令指定都市を含む)における不都合の確認を行い、都構想により大阪がどうなるのか見通しを立てた。
調査の結果は新たな発見の連続であった。思いの外、成果を上げることができたと思っている。多くの人と共有化するべきと考えて文書化する事にした。特に大阪市民の方々の目に触れることを願っている。

著者紹介

堀田 弥山(ほりた みせん)
昭和37年、愛知県で生まれる。
昭和60年、大学卒業後に複合機メーカーへ就職。制御系エンジニアとして、主に複合機のコントローラ技術開発に携わる。
令和3年、メーカーを退職。自由人となる。