ISBN:978-4-910205-60-1
定価:\1600+税

作品概要

明治時代の紀行作家・遅塚麗水が武州豊島氏の滅亡にまつわる照姫伝説を描いた『照日の松』を、読みやすく現代語に訳した物語。

あらすじ
 京都の公家の娘・照日は男勝りの性格で、父・藤原公正に隠れて荒法師の大椎に剣術を習っていた。ある日、自分に狼藉を働こうとした武士三人を返り討ちにして殺してしまう。この武士が幕府の旗本・斯波義敏の家臣だったため、日頃から武家に反抗的だった公正は事件を口実に甲州山梨に配流された。
 照日は侍女の浅茅と共に父を訪ねる旅に出るが、途中駿河の薩埵峠で山賊に捕らわれてしまう。それを直前に知り合っていた石神井城主豊島泰経の弟・泰明に助けられた。泰明はその後照日の前から姿を消し、二人は泰明が紹介した山吹の姥の許に身を寄せる。
 泰明は山梨に向かい、そこで出会った流浪中の大椎と共に幽閉されていた公正を救い出すが、衰弱していた公正は姫のことを二人に頼みながら亡くなってしまう。
 一方、江戸城主・太田道灌と石神井城主・豊島泰経は対立し、一触即発の状態となる。道灌は石神井を偵察中に山吹の姥の許に居た照日を見染めるが、簡単にあしらわれてしまう。
 山梨から戻った泰明は照日を城に呼び、父の死を伝える。そして遺言通り、大椎の媒介で二人は夫婦となる。祝言の日の夜、道灌は豊島方に攻め寄せた。泰明は一隊を率いて赤塚砦を救に出陣するが、多勢に無勢で討たれてしまった。残された照姫の運命は…。

著者紹介

1975年 北海道生れ
1999年 早稲田大学第二文学部卒
2003年 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程修了
2003~2009年 制作プロダクションで翻訳・編集ディレクター
2010年~現在 外資系航空会社勤務