ISBN:978-4-910205-36-6
定価:\1600+税
作品概要
本書は、『クルーズ+下船後の現地旅』の模様を体験から具体的に示したものである。
クルーズは安全、費用、言葉の面からもっと評価されていい。外国語を学びたい人には、外国人との会話の場として最高のものだからである。語学留学が船の上でできるのだから。
1 旅の動機
イタリア語を学んでも日本ではなかなか使う機会がない。
イタリア語のための舞台として、ヴェネツィア発着のクルーズと、引き続きのイタリア列車の旅を思い立った。
クルーズだけに行くのはもったいなく、イタリア各地を旅しながらイタリア語を話してこようと思ったのである。
おかげでツアー旅行ではありえない、実に意義深く印象に残る旅となった。
2 旅の概要
ヴェネツィアでは入り組んだ小路を歩いて、ドゥカーレ宮殿、サン・マルコ大聖堂、大運河沿いに連なる貴族の館などに中世にタイムスリップしたような情緒を味わった。
ヴェネツィアングラスのムラーノ島、高級リゾート地リド島に渡るとき、目線が水面とほぼ同じヴァポレットからは、町全体が水面に浮かんでいるように見えた。
特筆すべきはクルーズのおかげで、出港と帰港時は十三階建てのビルと同じ高さの甲板から、町を見下ろすことができたのだ。
最初に寄港した南イタリアの経済の中心地バーリは、南国情緒あふれる町だ。サンタクロースのモデルと言われる聖人を祀る聖堂を見学した。
次に寄ったのはオリンピア遺跡である。2020年春には東京五輪の採火式が行われ、マラソン金メダリスト野口みずきさんが第二走者を務めるのを手に汗握りながら見た日本人は多いだろう。
トルコのエフェソス(エフェス)は栄華を誇った古代都市が保存状態よく残る遺跡で、はるかヘレニズム時代に思いをはせた。アントニウスとクレオパトラもここに滞在していたと言われる。
ここでの観光はイタリア語ガイドを選んだ。イタリア人のバスに日本人としてただ一人乗り込み一緒に案内を受けたのである。クルーズでは
こういう疑似語学留学が簡単にできるのだから大いに活用したい。
イスタンブールはアジアとヨーロッパにまたがる要衝にあり、ローマ帝国、ビザンチン帝国、オスマン帝国それぞれの首都が置かれた大都会である。観光先では、絨毯屋の販売攻勢を受け辟易したものだ。
アドリア海の真珠ドブロブニクには、テンダーボートで上陸するという得難い体験をした。陸路から訪れるのとは一味違った楽しみ方がクルーズではできるのだ。
下船後は、帰国する妻とヴェネツィアで別れ、筆者が次に向かったのがパドヴァである。
ベネチアから電車で30分の若者が多く活気がある街だ。あのガリレオやダンテが教鞭をふるっていた大学があり、ジョットのフレスコ画でも有名な町である。
そこからラヴェンナに行くとき、電車が遅れ乗り継ぎ駅では走らざるを得なかった。外国には珍しく、発車の笛の音が鳴っていた。
ラヴェンナには5世紀から8世紀にかけて首都が置かれていたこともあって、美しいモザイク画が多く残っている。
モデナに向かうため乗り換えたボローニャ駅では、ホームになかなか行先表示が出ず不安にかられたものだ。イタリアではしょっちゅうだから、油断がならない。
モデナのフェラーリ博物館では、ずらりと並ぶF1車を見ているだけで気分が高揚したものだ。
インスブルック(オーストリア)に向かう旅の途中で立ち寄ったのが、美しい湖水の街マントヴァである。
さらにヴェローナでは若者、とくに恋愛にあこがれ「ジュリエットの家」を訪れる若い女性が引きも切らず、熱気に包まれていた。
コンパートメントの車両では、同室になったマケドニア人と会話するという珍しい体験ができた。
3 クルーズ船上の楽しみ
毎晩のディナーの席を英国人夫妻と相席にしてもらった。日本人と相席ではせっかくの会話の機会を失うからだ。
イタリア語では何時間も会話できるほどの力がないから、英語にしたのである。
その代わりディナーの席での英語以外は、船員、ウエイターとのやり取りやイベント参加などはイタリア語で通した。
大いにイタリア人女性とダンスを楽しみ、ウオーキングや扇子作りなどの催しに積極的に参加しクルーズを満喫した。
著者紹介
円山真喜(まるやま まさき)
同志社大学卒。㈶世界人権問題研究センターで刊行物を編集、京都市産業技術研究所で知的財産権の取得管理を担当。
その過程で本つくりと外国語に興味をもつ。
著書
『これで読める! 覚えられる! くじけそうなあなたに贈る フランス語単語 虎の巻』
『クルーズ入門 &クルーズ語学留学入門 スペイン語編: クルーズを10倍楽しむ法 』
『クルーズ入門 &クルーズ語学留学入門 イタリア語編: クルーズを10倍楽しむ法』