ISBN:978-4-910205-38-0
定価:\1600+税

作品概要

細い鎌の月が西の空に浮かぶ。
紺と青と紫の薄布が幾重にも重なった底なしの空間に金色の尖った鎌がぽつりと浮かぶ。僕は立ち止まって、孤独な三日月からゆっくりと目の前の公園に視線を移した。(橘考より)

 四季折々の日本の美しさを絵巻風に描いてみました。懐かしくも朧でちょっと怖い世界。何らかの揺らぎが隠れていた異界の扉を開き、いつの間にかそこに迷い込む。
日常から異界に。そして異界から日常に。失われてしまった懐かしい人との再会。死者と生者、彼岸と此岸の境界が曖昧になる。
いつか見たあの風景。遠い昔に誰かと手をつないで歩いた道。
記憶の中に埋もれていたそれらにまた逢えるかも知れない。
先の見えないコロナ禍の中、ちょっと立ち止まって四季折々の異界に心を遊ばせてみては如何でしょうか。