ISBN:978-4-910692-26-5
定価:\1400+税

作品概要

誰もが生き延びるため、奪い合い、殺し合っていた乱世の南北朝時代。独り、まことを貫いて壮烈な死を遂げた武将がいた。その名は楠木正成。河内の土豪だった正成は、討幕を企てたものの、露見して追い詰められた後醍醐天皇に懇願され、兵を挙げる。正成はその卓越した武略で小勢ながら奮戦し、天険の千早城に鎌倉幕府の大軍をおびき寄せ、守り抜くことで、各地の叛乱を誘発。討幕を実現する。しかし、復権した後醍醐天皇は己の力を過信して驕りが目立つようになり、恩賞の不公平や訴訟の激増を招いて、世の乱れはかえってひどくなる。正成は立て直す唯一の手段として、天皇に背いた武家の実力者、足利尊氏との和睦、すなわち公武合体を奏請するが斥けられ、兵庫での迎撃を命じられる。勝てぬ戦と承知していた正成だが、利欲よりも義に殉じることを選び、足利勢と死闘を繰り広げた後、「戦った本当の相手は天皇」と言い残し、弟の正季と刺し違えて自害する。

著者紹介

近藤 達郎(こんどう たつお)
1948年、名古屋市生まれ。私立東海中、高を経て、1972年、京都大学法学部卒業。中日新聞社に入社。長野県飯田支局、横浜支局を経て、東京本社整理部。以後、専ら編集部門を歩み、名古屋本社に転勤後も整理部、地方部で部次長。2008年、定年退職。2013年まで同本社社会部で特別嘱託。
若い頃から歴史書を読むことを趣味とし、歴史小説を手掛けるに至る。