ISBN:978-4-910692-35-7
定価:\1400+税

作品概要

江戸末期のこの国は、いまだ国家として体を成していない封建支配体制から近代国家体制へと移行することが喫緊の課題であった。
時はペリ―来航で鎖国から開国へ。主人公・永井尚志は幕臣官僚で外交官。幕府最初の長崎海軍伝習所の創設で初代総督。勝海舟、榎本武揚、五代友厚らを世に送り出す。日米修好通商条約の締結。日英修好通商条約の締結。外国奉行。安政の大獄で粛清・永蟄居に憂う。軍艦操練所総監。京都東町奉行。幕臣・大目付に就任し、問罪使として第一、二次長州征伐に派遣される。また、幕臣・若年寄となり徳川慶喜に大政奉還を勧める。鳥羽伏見の戦い、幕府瓦解ののち、五稜郭の戦い(蝦夷共和国構想計画〉に参画して敗北する。なお、永井尚志は作家 三島由紀夫 の高祖父にあたる。
純彩詩(ジュンサイシ)
夢に魅せられて狂ったように苦悶した魂たちよ 彷徨うのをやめて 張り裂く嘆きをやめて 正義のために命凍らせた名も無き英霊たちのため この暁光の空の下で 湖の上をジュンサイの花で満みたそう 夢の君 憧れの君 願いの君 愛の君 誇りの君
花雪の横たわる如く 眠っておくれ 安らかに 
と散った英霊たちを刻むのであった。

著者紹介

田中 重光(たなか しげみつ)
1951年 福岡県柳川市に生まれる。
日本大学大学院理工学研究科卒、工学博士、一級建築士。
勤務歴/㈱梓設計、㈱東急設計コンサルタント、㈱山下設計などに勤務。現在フリー。
2005年『近代・中国の都市と建築』相模書房(第23回大平正芳記念賞・特別賞受賞)。
2007年『大日本帝国の領事館建築』相模書房。
2010年「後藤新平の台湾ランドスケープ・デザイン」(『都市デザイン』藤原書店)。
2011年『赤い男爵 後藤新平』第1、2刷、叢文社。
2014年『華獅子』(宋慶齢)、叢文社。