ISBN:978-4-910692-25-8
定価:\1400+税
作品概要
明治新政府は、西欧列強の植民地にされる恐怖を覚え、徳川とは正反対、列強の軍事力や科学技術を取り入れることに、国を挙げて取り組み始めた。
そのころ、オスマン帝国(トルコ)の親善使節が来日し、親しく天皇、政府要人と語り合い、帰国の途についたが、和歌山沖で台風に遭遇、船は難破爆発し、多くの人命が失われたが、串本の漁民の命がけの救助で60余名が助かり、彼らは傷が癒え、日本の軍艦で故国に帰っていった。
その話を知った山田寅次郎(沼田藩家老の息子)は国民から募金を集め、それをオスマンに届け、それが縁でトルコと日本の架け橋になり大活躍をした。
記憶に新しいイラン・イラク戦争がはじまり、イラクのフセインは、48時間後、全面的なイラン爆撃を通告する。「イラン上空を飛行する航空機は、国籍を問わず全機撃墜する」
日本からの航空機の救助もなく、この危険地帯から脱出する方法がない日本人は、絶望的な気持ちで空港に身を寄せていたが、日本大使館の職員から「トルコ航空が皆さんを助けに来てくれます」と聞いて我が耳を疑った。「なぜトルコが?」
トルコ航空機は危険を冒して日本人を救いに来てくれた。あと1時間位でイラクのミサイル攻撃が始まるという時間に、何とか空港を飛び立つことができ、無事にトルコにたどり着いた。
助けられた日本人が、涙を流して感謝すると、「我々もエルトゥールル号の親切を忘れていません」との言葉が返ってき、それを聞いた日本人は絶句した。『百年も昔のことを……』
著者紹介
杜仲
長野県生まれ
作は、実践行動学講座(希望社)
戦略の論理(つむぎ書房)
轅與の手抜かり(歴史ロマン文学賞優秀賞) 等