ISBN:978-4-910205-42-7
定価:\1600+税
作品概要
念仏はボトムアップであるという新しい考え方を提唱する。
一般に念仏とは人が意志して称えるものと思われている。こういう念仏には願望や苦の解消に対する期待が僅かながら入り込んでいる。これには自己欺瞞が生じる危険性がある。親鸞の到達した念仏は分かりやすく言えば、いつのまにか念仏していたというものである。このような念仏は如何なる過程で可能となるのかを検討した。
顕浄土真実教行証文類等の親鸞の著書から念仏はボトムアップであることを検証し、念仏とは阿弥陀仏の呼び声である事を確認した。一方で、大乗仏教は苦からの解放を目指すものであり、この基本概念は「空=相互依存=論理的相関関係」である。これと念仏の関係を検証した。まず、苦の起こるメカニズムを新しい科学的知見から考察し、宇宙、地球、環境等の成り立ちを検討した結果、苦もこれらとの論理的相関関係であり、さらに苦を背負った衆生と阿弥陀仏、念仏も論理的相関関係であることを確認した。この構造を理解することにより科学的にボトムアップ念仏に近づく事が可能となる。
念仏の現代的な意味について考察すると、新型コロナウイルス感染症に世界中が苦しめられている現在、そして今後のウイズコロナの社会は、人と人の繋がりがこれまでより希薄になる可能性が高い。そこに科学的理念を包括した浄土の教えが導入されるなら、ボトムアップ念仏が意義を持つものと私は確信している。
著者紹介
愚髭雲明
本名 伊藤博一
医師、医学博士
三重県四日市市で整形外科診療所を開業
専門は小児整形外科
新生児から百寿者までの外来診療と在宅医療を行っている
1955年 生まれ
1981年 久留米大学医学部卒業
1990年 ペルテス病の研究で医学博士の学位取得
1995年 いとう整形外科クリニック開院