ISBN:978-4-911093-61-0
定価:\1500+税
作品概要
自己中心的でデリカシーがない。酒好きで風呂嫌い。ことあるごとに回し蹴りをかまし、ゴキブリを素手でつかみ取る無神経な男。中学校の卒業式の夜、櫻井颯人にとって負の感情しか抱けない父親が急逝した。
数日後、颯人の前に他界したはずの父親が現れ、「俺には、いくつかやり残したことがある。それをやるためには、お前の協力が必要。用件がすんだら天に還る」と告げる。
町内の寺社の主、父方の祖父母、今は別の場所で暮らす母親や妹、父親の幼馴染の面々‥‥‥。父親から託されたミッションを遂行するなかで、それぞれが語るエピソードに触れるうちに、颯人の胸に溜まっていた負の感情が、少しずつ浄化されていく。
夜空を翔ける龍神様、早朝の神域に天から降り注ぐやさしい光、父親の実家に棲む座敷童たち‥‥‥。現実世界の向こう側にひそむスピリチュアルな世界観に彩られた親子の絆の物語。
著者紹介
小室初江
1967年 埼玉県生まれ
学習院女子短期大学人文学科卒業
二人の息子たちが幼い頃、なんの気なしに書いた物語を大絶賛され、創作に目醒める。
子育てが落ち着いたのち、いくつかの接客業を経て、2010年埼玉県公立中学校国語科の教諭となる。教職に励む傍ら、毎朝出勤前に執筆を続け、2冊の小説を上梓する。
2023年3月 創作活動に専念する覚悟を決め、早期退職。
未来にそこはかとない不安を感じつつも、来るべき勝負のときに備え、普段はひた隠しにしている爪に磨きをかける日々を送っている。
2000年 第2回「ミセス大賞・小さな童話部門」優秀賞受賞
著書「夏神」、「夏の滴」