ISBN:978-4-911093-81-8
定価:\1600+税
作品概要
第一部の序章(空港アクセス鉄道と都市の評価)より
都市を「居住対象」であると同時に「投資対象」であると見た場合、どのような評価がなされるだろうか。つまり、投資先としての魅力がどれほどかということだ。大きなマーケットが存在するか、質の高いパートナーが集まっているか、法律や規制は自分に有利か。ビジネスに直結する要素は重要であるが、その都市を拠点とする場合には居住対象としての評価点も重要な要素となる。中でも交通インフラの整備状況は評価におけるプライオリティが高いのではないか。交通インフラは整備計画から建設が完了して開業するまでには莫大な費用と結構な時間がかかる。しかし、一旦できてしまえば長期安定的に利用できる。交通インフラは、都市開発者により慎重に計画が行われて建設されるが、都市に投資する側も慎重に評価する筈である。(中略)空港と都市とを結ぶ交通インフラ、特に鉄道が上手に接続されていると都市の評価は上がるのである。成田空港も関西空港も、都市との間のアクセス鉄道の良し悪しが都市としての東京と大阪の評価に繋がる。両者は国際空港である。その鉄道事業は利害関係者による紆余曲折があり、開業までは決して楽な道のりではなかった。このような場合、政治行政の意思が成否を分けることになる。
第一部では、「成田空港アクセス鉄道」と「関西空港アクセス鉄道」について記す。政治行政の意思が示す方向を見ながら、楽ではなかった道のりを辿る。特に政令指定都市である大阪市の政治行政が「空港アクセス」に対して示した意思を確認する。又、それが都構想の提案にどう影響したのかを考える。
第二部の序章(基礎自治体と広域行政体)より
地方自治体の役割は二つに分けられる。基礎自治と広域行政である。基礎自治は、幼児教育などの子育て関連や介護などの高齢者福祉を初め住民一人一人に向き合い対応する仕事。広域行政は、道路や鉄道などのインフラ整備を広域にわたって担うことである。以前の私はこのような見方をしたことはなかった。興味がなかったのである。「大阪都構想」が話題になり始めた頃から興味を持ち始めた。関連本やネットから情報を仕入れ、考えるようになった。(中略)
第二部では、基礎自治体と広域行政体について自分の考えを記す。制度論ではなく具体論で示す。手の届かない理想論ではなく頑張れば届く可能性のある現実論にしたつもりである。
著者紹介
堀田 弥山(ほりた みせん)
昭和37年、愛知県で生まれる。
昭和60年、大学卒業後に複合機メーカーへ就職。制御系エンジニアとして、主に複合機のコントローラ技術開発に携わる。
令和3年、メーカーを退職。自由人となる。