ISBN:978-4-910692-81-4
定価:\1400+税

作品概要

夏休みに孫達を南洋のパラオ国に連れて行った。「ねえ、おじいちゃん、日本はここでパラオの人を無視して戦争をしたのに、パラオの人は日本人のお墓掃除をしてくれているなんて、信じられない」
孫の驚きに私も同感だった。私達は、日本人が勝手に戦争を起こし、世界の人々を残虐に虐げた。という自虐史を教わって育った。しかしパラオの人は、日本人に大きな親しみを持っている様だ。孫たちを、ペリリュー島で玉砕した水戸第二連隊の戦跡を見せに連れて行くと、孫たちは無言で無残な戦争跡を見て話す。
「日本の兵隊さんは、この島で全員が死んだんだよね。アメリカの大軍に勝てる訳が無いのに、どうして降参しなかったの」
父をペリリュー島で亡くした大類さんが子供達に答える。
「この島の飛行場をを守らないと、日本にいる子供達が敵の爆撃で死んでしまうの。だから兵隊さんは本土と子供を守る為、勇敢に戦って死んでいったのよ」
「最後の50人もアメリカ軍に突撃したの? 死んでしまうに決まっているじゃん。降参すればいいのに……みんなバカ!」
子供たちの意見は至極真っ当な意見が多かったし、実際にパラオで父の戦い跡を偲び、私の自虐史感も大いに変わる有意義な旅だった。

著者紹介

杜仲【とちゅう】
長野県生まれ
「著書」
実践行動学講座
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「論文」
スーパーマーケット
外食産業事情
「小説」
轅輿のしくじり
命懸けの恩返し(発売中)