ISBN:978-4-910692-72-2
定価:\1400+税

作品概要

「わたしが恋をした人は、父を斬った男」

鶴の血肉、腐らない北斎の遺体、死体を好む絵師。
江戸×恋愛×ホラーの新感覚時代小説。
天保十年。糸という少女は母と二人で雪山の麓で暮らしていた。
ある日の夜、糸は大蛇に左手の薬指を噛み千切られて目を覚ます。母は糸をかばって大蛇に怪我を負わされた。
命からがら母は江戸に向かうとある屋敷の前に糸を置いていく。
糸は屋敷の主人であった浮世絵師の葛飾北斎に拾われ、娘として育てられた。 
十年後。糸は美しい女となり、北斎と二人で平和に暮らしていた。
しかし再び、母の敵である黒い着物の男に化けた大蛇が家に現れる。
大蛇は北斎を殺害すると糸の前から消えた。
糸は絶望し、江戸を徘徊する。
神社で惨めな姿を子供たちに虐められていた糸は、宮木という武士の男に助けてもらう。
宮木に不思議な想いを抱きながら、糸は茶店に辿り着く。
そこで渓斎残菊と名乗る絵師と出会った。大蛇の相談をすると残菊の友人の上田宮木という男を紹介される。
宮木は江戸で〝鶴斬りの宮木〟と呼ばれている男だった──。
糸と宮木は一緒に暮らしているうちに互いに好意を抱き始める。
だが、再び糸の前に大蛇の男が現れる。大蛇は自身を黒鉄(くろがね)と名乗ると糸に告げた。
〝糸は宮木が斬った鶴の──〟であると。
AmazonKindleで時代小説新着ランキング1位の作品が書籍化。

著者紹介

鴉澄ねね
1993 年生まれ。神奈川県出身。
2019 年から小説を書き始める。
初めて書いた短編が入賞したのがきっかけで、2021 年に小説家若桜木虔の小説講座の生徒となった。
時代小説の執筆を勧められ、一作目『鶴を斬った男』がつむぎ書房で出版となる。