ISBN:978-4-910692-06-7
定価:\1600+税

作品概要

時は昭和、太平洋戦争の真っ只中。磐井伊吹は入隊し、戦地に赴くことになった。結婚相手である磐井和泉のことを故郷に残し、死地に向かうのだ。同期入隊した、柊宗政という人物と伊吹は、兵舎での訓練中に出会い友好を深めることになる。彼とは同じ配属先になり、戦艦『鍍金』に乗り込むのだった。燃料不足で満足に訓練もできない中、ある日『鍍金』に命令が下される。それは、生還の望みのない戦いだった。敵の戦闘機、爆撃機、雷撃機が迫りくる中、二人の運命が動き出す。
太平洋戦争終結から、もう76年が過ぎました。戦争を歴史の中でしか知らない人が大多数ではないでしょうか? もちろん僕もその内の一人です。現代の人々は戦時中の日本に対し、あまり良いイメージを抱けないのではないでしょうか? 突然来る招集の『赤紙』、物すら自由に買えない『配給制』、全てを戦争に注ぎ込む『国家総動員法』、町を破壊する『空襲』、前代未聞の新兵器『原子爆弾』等々…。
中でも一番暗いのが、最前線で戦う兵隊でしょう。自分の命の保証はできず、そんな状況でも任務に従わなければいけない。そして敵兵を殺めなければいけない。時として死ぬことすら、推奨される。戦地に送られた彼らは、相当なプレッシャーを背負っていたはずです。
そんな戦時中、それも兵隊たちに想いを馳せながら書いたのが、この「戦艦鍍金」です。彼らは言われた通りにしか動かない、冷酷なマシーンではなかったはずです。仲間との友情があったでしょうし、故郷の人々のことを片時も忘れなかったでしょう。彼らもまた、人間的な感情を持っていたはずです。そしてそれは、現代を生きる僕たちと同じものだったと思うのです。日本のために命をかけて戦った、彼らの心境を、未来に語り継ぎましょう。
また、「戦艦鍍金」には太平洋戦争をアメリカ側から見た「空母ドラキュレス」も収録。
真珠湾攻撃という奇襲を受け、激昂したに違いありません。大日本帝国を本格的に潰しにかかったに違いありません。同じ人間として、見ていなかったかもしれません。
しかし、忘れないで欲しいことがあります。日本人もアメリカ人も、同じ人間です。そして憎むべきは戦争なのです。

著者紹介

杜都 醍醐(もりと だいご)
1994年岩手県生まれ。宮城県育ち。仙台育英学園高等学校 特別進学コース出身。
京都工芸繊維大学で生物学を専攻し、卒業。
趣味は日本の世界遺産巡りで、戦争と歴史に興味津々。
生き物を飼育することも好き。一番好きな昆虫はカマキリ。
尊敬する人は杉原千畝と永井隆と宮沢賢治。
「努力を継続することは難しいことだと思いますが、同時に大切なことだと思っています」
「原爆とわたし」がデビュー作。