ISBN:978-4-911093-94-8
定価:\1600+税

作品概要

ここは、北極圏に隣接する北緯63度、酸素が平地の2分の1、高度6000m、気温マイナス30度に強風の北米大陸最高峰のアラスカ州デナリ山頂直下

『ハアハアハアハア…』

しかも、ホワイトアウトで前はよく見えない。

空気が薄く、数歩く度に心拍数が上り呼吸が早い。私は、たった一人で山頂を目指し登っていた。

『もう体力も限界だ、撤退しよう。生きて日本に帰ろう。』そんな心からの声がした。

引き返そうとした瞬間、私に呟くもう一人の自分がいた。

『また、辛い事から逃げるのか、落ちこぼれのまま、やさぐれずっと燻り負け続けたままでいいのか?社会でも負けて、山でも負け、また逃げてずっと生き恥を晒したままでいいのか?プロも躊躇する高山で、単身での山頂からのスキー滑降に挑戦し無事生還する事で自分を変え、誇りを取り戻そうと誓ったじゃないか?すべての欲を捨ててこれに賭けてきたじゃないか!!』

でも、天候が崩れたら確実に死んでしまう。自分の中で葛藤が始まった。
そう…これは我が人生を捧げた絶対に負けられない戦いでもあったのだ。

この物語は、小学生の時に壮絶ないじめに遭い、心に傷を負い落ちこぼれ、バブル経済が過ぎ去り就職氷河期突入した時代から、完全に社会から爪弾きにされた中年が、ふとしたキッカケで、人間としての誇りと人生の忘れ物を海外の砂漠、大河、高山などの原野に取り返しに行く、全身全霊を捧げた逆襲の記録である。
【巻末特典 遠征ミニ映像QRコード付き】

著者紹介

安田順治(やすだ・じゅんじ)
小学生の時壮絶なイジメに遭い、引き込もりぎみの完全な落ちこぼれになる。その後、なんとか三流大学に入学し5年かけ卒業。
時代は超就職氷河期。外れクジ的なブラック企業を転々とし激務を10数年間こなすも、過労とストレスで大量下血し緊急入院。復職も会社は倒産しホームレスになる。
たまたま駅のチラシで見た富士山登山ツアーに何となく参加し、そこで見た富士山御来光に涙が止まらなかった。
この衝撃的な体験を機に、何も取り柄もなく逃げてばかりの弱い自分を変えたいと、精神的肉体的に徹底的に鍛え直し、マラソンやトライアスロンや遠泳などの体力系レースに積極的に参加しまくる。
憧れである植村直己さんの眠るアラスカ北米最高峰のデナリ山頂からのスノーボード滑降を目標に雪山登山を始め、スノーボードを背負って国内の難関バックカントリー、雪山登山ルートを一人で登り滑りまくる。何度も遭難しかけ死にかける。
数々の困難に打ち勝ち、40歳を過ぎた時、満を持して海外に遠征に。
アウトドア離れした若い世代や普段自然に接する機会が少ない方々に、興味を持ってもらいアウトドアスポーツの裾野を広げたい。そんな活動がしたいと考え指導員資格を多数取得し、講演会などを開催し、アウトドアスクールも開講。
自分のような落ちこぼれ達の足元を照らし自信を取り戻すための正しい方角に導く誘導灯になるべく只今伴走中。