ISBN:978-4-911093-97-9
定価:\1400+税
作品概要
居場所はその時々で形を変えて一瞬で消えたり、他者には理解できないものやずいぶん経ってから後、ふと気づくこともある。
だが、この世に完璧な存在はどこにもない故、そこがどんな時でも安心できる場所であり続けることはできない。
辛いことがあって飲まず食わずになっても普通は何かを口にしたくなるだろう。その時、世界で唯一最高の居場所が出現する。でも、お腹が満ちたらそれで終わり。そんなことを繰り返し繰り返し続けていくことが生きること、なのかもしれない。
俄かに浮かんだので、ヒットの延長線上にホームランがあるなら何でもない事の先にはとんでもない事があってもおかしくはないのかもしれない。とんでもないことはそう滅多に起こるものではないが、そんな強い刺激から敢えて遠ざかろうとする生き方もあるだろう。
朝が来れば起きる、用を足したければトイレに駆け込む、欲しいものがあれば努力する…そうした日常にある普通にまずフォーカスして文字を連ねていく。たとえば、興味のあったある講習会に参加して、参考になる部分はあったが疲れもした。帰路についた車窓に映る満月が不思議ととても綺麗だった。それだけのことをわざわざ文字数364で綴る。特段の面白みはないが、感じてほしいのはその満月をただ眺めるだけで気持ちが安らぐ、すなわちそこが自分の居場所の一つになっていること。
凡ての存在に死がある以上、満たされないのは足りていない何かを、少なくとも誰しも必ず感じる今があるだろう、あっただろう。
1年は365日だが本当に自分はそれだけ使い切れているのでしょうか(-1日)?その何かを求め続けていく意味を込めて次に1編を(365日-1日=)364にフォーカスし本書57編をすべて364文字で綴った。
728文字の作品は、当然にして364文字ではないと思われるだろうが、つむぎ書房のスタッフより文字数に拘りすぎないことへのアドバイスをいただき、本書後編(364c/728c)に加筆するに至った。それでも364の倍数で仕上げたことは自分の意志を貫いたと自負している所である。
もしも最後まで読んでいただけたのなら、そして何か一つでもあなたの/誰かの心に安らいだのなら、長い年月と共に続けてきた凡てに感謝して、ありがとうございます。
著者紹介
k/K