ISBN:978-4-911093-86-3
定価:\1400+税
作品概要
『中指いっぽんのうた』
ミカヅキカゲリが10年あまりに詠み貯めてきた一八〇〇首あまりの中から三九〇首を厳選した第一歌集『中指いっぽんのうた』。
選歌は大好きな歌人の佐藤弓生さんにお願いしました!
1.春
2.水よりも濃いもの
3.夏・思春期の影
4.禍根
5.歌物語 吸血喫茶
6.遺棄・氷砂糖
7.火星を想う
8.亡きひとたち
9.冬・施設・ひとりきり出版社
10.ふたり旅
11.空をあきらめない
ランダム10選。
おとうとの指があばらを辿っては「痩せたか、」を問う身を竦ませる
亡きひとがいつも云ってたわたしには「鉱脈がある、何かを為せる」
もうずっといのちの電話は話し中おそらくだけど5人は死んだ
夜のまちをスーパーを目指しすすむとき、ガソリンスタンド火薬のにおい。
足掻いてもどうにもならない障害を氷砂糖と名づけて眺む
わたしから喪われてく社会性 でもだいじょうぶ 爪は切ってる
羽のなき扇風機みたくぼくたちは理屈わからずいまを生きおり
おとうとが死体みたいに投げ出した昼寝の両の弱きあなうら
夕焼けと柱時計が刻む刻(とき) ピンクの象のおくすり手帳
〈やさしい〉と〈かなしい〉何処か似通って夕餉の支度 茄子味噌だとか
著者紹介
ミカヅキカゲリ
11月1日 生まれ。北九州市出身。
筑波大学で、心理学、心身障害学などを学ぶ。
大学在学中から舞台に立ちはじめ、卒業後は舞台女優に。その傍ら、声優や歌うたいとしても細々と活動。しかし実は作家志望との矛盾を抱えていた。
一方で中学生の頃より、〈存在の不安〉としか形容できぬ漠とした悩みに苦しみ、ついには耐えきれず2006年末に自殺未遂。後遺症のため、四肢麻痺になり、以降車椅子生活。赤い電動車椅子がトレードマーク。
ちいさな頃より好きだった詩作を本格的にはじめたのも大学在学中から。小説は車椅子になってから。
2018.11.01.第一詩集『水鏡』刊行。
2019.11.01.第二詩集『立脚点』刊行。
ひとりきりでちいさな出版社 † 三日月少女革命 †を設立。ミカヅキカゲリ作品集Ⅰ~Ⅲなど。
詩誌『指名手配』同人(装丁も担当)。